石板8
ミミズ化ガスを吸って
体がミミズ人間になっていく
見た目が変わらなくても分かる
指先から細胞が影武者にすりかわっていくのが
化学プラントの爆発で
この町の人間はみなことごとく
ミミズ人間へと変わり果てたのである
陽光は敵 月光は味方
人間がみな歩く石像に見える
望むわけでもないのに
高次元からの催促がくる
「人類を滅ぼせ 政権から引きずりおろせ」
おはようからおやすみまでひっきりなしに
自分では人類を同族だと思っていても
人類は自分を同族だとは思ってくれない
町への核攻撃のカウントダウン
我を忘れバイクで疾走する自分
待ち受ける人類の警官隊の一斉射撃
数の暴力による陵辱
地べたにも響く勝利の雄叫び
任務失敗を責める高次元の声
でももう動けない
涙の流れない体に奇跡は起こらないから