斜め45度の坂を滑り降りて
キミが降りた深さより更に遠い闇の中へ
インラインスケートは軽い音を立てて
ボクを死の国へと連れて行く
何も見えない黒い坂道
黒く湿った霧の風
坂道にしがみついて
泣きながらずり落ちていく少女を
ボクが音の速さで抜き去っていく
「この坂は本当に死の国へ続いているの?」
『……………』
「本当はずっと永遠にこの坂を滑り降りるだけなんじゃないの?」
『……………』
でももう止まることはできない
黒い霧が心地よく肺に入っていくのを感じながら
ひたすら滑り降りるほかにできることはない
また一人
転んで骨を折った少年を抜き去っていく
「ボクは優秀なの?」
『……………』
「ボクの骨も折れるの?」
『……………』
雪も雨も降らない坂だけど
闇の中だからいくら見渡しても地平線など見えはしない
ああそうか、と滑走するボクは突然気付いた
「これが、死なんだね……?」
『……………』
「ここが、死の国なんだ……」
『……………』
その時突然ボクは何か黒いものにつまづいて…