圧縮表層構造 28



朝から晩まで
少女と二人でシーソーを漕ぐ

少女が上にあがると
彼女はヘラヘラと阿呆のように笑う
僕が上にあがると
僕もヘラヘラと阿呆のように笑う

ここは廃墟のど真ん中なので
通りがかりの親子が僕らを怪訝な目で見ることもない
だからどこまでも大胆になれる

生温い放射能入りのスコールに濡れながら
少女と二人でシーソーを漕ぐ
髪がべったりと頬に張り付いてもなお彼女は笑う
濡れて透けたブラウスを気にも留めずに

だから僕も笑う


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菅井 清風(k-sugai@hoffman.cc.sophia.ac.jp)
© 2000 SUGAI Kiyokaze