圧縮表層構造 20



龍二の通夜に行った

天空(そら)は散華の星祭
回るペダルを踏みしめて銀輪を駆る

死に顔を見ようとした僕を
龍二の姉だという女性が必死で止めた

夕食の最中
牛カルビをホットプレートで焼く龍二の頭が突然爆ぜて
中からカラスが出てきて窓から外に飛んで行ったのだと
彼の姉は涙ながらに語る
それは恐らくカラスではなく黒曜鳥という黒鷲の筈だが
彼女に教えても意味のないことであったわけで

頭痛がひどくなって斎場を出た
体が重い
小脳が悲鳴を上げているのが分かる

天空(そら)は散華の星祭
いっそ大雨になってしまえば
朝を待たずして僕も楽になれるのだろうが
文明樹の秘法は強者に甘く弱者に厳しいようで


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菅井 清風(k-sugai@hoffman.cc.sophia.ac.jp)
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