咲いて散るモノ
公開処刑ホールに5000人の凡人が集められた
なぜ集められたか?
それは凡人だからである
飛行船の総統が声高らかに叫ぶ
「この中の一人に
人間爆弾になって
残りの凡人を全て抹殺する
栄誉を授けよう!」
誰もいなければ細胞溶解シャワーである
ざわめき 泣き声 そして罵声
だが一人の父親が独り顔を上げた
何も分からない娘をきれいに死なせるために
爆弾を飲み込み
男は凡人たちのはるか上
飛び込み台の先端に立った
解っていながら名乗り出たものの
娘の顔が見えた時男は突然躊躇した
男はやはり弱かった
男は自分の腹を殴り
飛び込み台とともに光となって消えた
それを見つめる総統
娘と残りの凡人たちは
結局細胞溶解シャワーで
下水に流れていったそうである